皆さん、こんにちは。埼玉県三郷市を拠点に、東京都内で住友不動産等所有のオフィスビルに関わる電気工事を手がける北英電気株式会社です。
電気工事をするために必須となる国家資格「電気工事士」は、「第一種電気工事士」と「第二種電気工事士」の2種類に分けられます。第一種電気工事士は第二種電気工事士の上位資格であり、キャリアアップする上で第一種の取得は非常に重要です。
では、第一種電気工事士を持っていると、具体的に何ができるのでしょうか? ここでは、第一種電気工事士にできることや、第一種と第二種のさまざまな違いについて解説します。
■電気工事士の資格は2種類
電気工事士の第一種と第二種の最も大きな違いは、従事できる工事の範囲にあります。それぞれどのような工事ができるのかを簡単に確認しておきましょう。
・第二種電気工事士
第二種電気工事士は、「一般用電気工作物」の工事を行うことができます。一般用電気工作物とは、他者(発電所など)から600V以下の低圧で受電している電気設備のことです。具体的には、一般家屋や小規模な商店などの電気設備が該当します。
電気工事を行うためには、最低でもこの第二種電気工事士の資格が必須です。たとえ自宅の電気工事であっても、資格なしに行うことは認められていません。
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・第一種電気工事士
第一種電気工事士は、第二種の範囲に加えて「最大電力500kW未満の自家用電気工作物」の工事を行うことができます。自家用電気工作物とは、事業用電気工作物(一般用電気工作物以外の電気設備)のうち、発電所や変電所といった電気事業用のもの以外を指します。
ただし、自家用電気工作物の構内にある小規模発電設備は、自家用電気工作物扱いです。具体的な工事の内容については、次の項目で見ていきましょう。
■第一種電気工事士ができること
第一種電気工事士は、「第二種の範囲+500kW未満の自家用電気工作物」を扱えることからもわかるように、第二種電気工事士よりも規模の大きい施設・設備の電気工事を行うことが可能です。具体的には、以下のような施設・設備の工事が該当します。
・大規模な施設の電気工事
第一種電気工事士は、ビル・マンション・工場・病院・ショッピングモールといった、大規模な施設の電気工事に携わることができます。つまり、一部の特殊な施設を除く、ほとんどの建物の電気工事を行うことが可能です。
・高圧の送配電線路の電気工事
第一種電気工事士が活躍する場所は、建物の中だけではありません。電気を運ぶための電線にも、高圧配電線(高圧線)と低圧配電線(低圧線)の2種類があり、第一種はその両方の工事を行うことができます。
電気は高圧で運んだ方が電力損失を少なくできるため、発電所から使用する場所の近くまでは高圧で運び、電柱の上などにある変圧器で低圧にしてから供給します。電柱の高い場所に張られているのが高圧線で、低い場所に張られているのが低圧線です。その両方に対応できる第一種電気工事士は、第二種に比べて非常に多くの電線の工事を行えることになります。
・最大電力500kW以上の建物の工事はどうなるの?
第一種電気工事士が従事できるのは、「500kW未満の自家用電気工作物」までです。では、最大電力500kW以上の建物や、発電所などの事業用電気工作物の工事は誰が行うのでしょうか?
まず、最大電力500kW以上の電気工作物や発電所の工事を行う際は、「電気主任技術者(電験)」の資格を持つ人を監督者として配置する必要があります。一方、実際に電気工事を行う人については、特に必要な資格が定められていません。つまり法律上は、無資格でも500kW以上の電気工作物の工事に従事できることになります。
これは、最大電力500kW以上の非常に大きな建物や施設では、設備管理専門のスタッフが常駐しているのが普通だからです。電気設備の自主的な保安・管理が徹底されている性質上、事故の発生リスクは中小規模の施設よりもむしろ低く、それゆえに電気工事士でなくとも工事に関わることができるというわけです。
とはいえ、電気工事の品質の責任が施設側にある点は変わりません。そのため実際には、最大電力500kW以上の施設であったとしても、(第一種)電気工事士の有資格者が作業に当たるのが一般的です。
■第一種電気工事士と第二種電気工事士のその他の違い
第一種電気工事士と第二種電気工事士には、従事できる工事の範囲以外にもいろいろな違いがあります。主な違いを確認しておきましょう。
・試験の難易度
第一種電気工事士の試験は、高圧の電気工事に関する内容が含まれる分、第二種の試験よりも難易度は高めです。直近数年における第二種の合格率は、学科試験(筆記試験)が60%前後、技能試験(実技試験)が70%台です。一方、第一種は学科試験が50%~60%、技能試験が60%台となっています。
第一種を受験する人の多くが第二種をすでに持っている(第二種の試験を突破している)ことも考慮すると、第一種は第二種に比べて難しいといえるでしょう。とはいえ、難関資格である電気主任技術者(電験)に比べれば、十分取得しやすい部類に入る資格です。加えて、2024年度からは試験が年2回に実施されるようになり、チャンスが広がっています。
・免状取得に必要な実務経験
電気工事士の試験は、第一種・第二種ともに受験資格が設けられておらず、誰でも受験することができます。しかし、電気工事士の資格を取得するためには、試験に合格するだけでなく、都道府県に申請して免状の交付を受ける必要があります。
第二種電気工事士の免状は、試験に合格した人なら誰でも申請・取得可能です。一方、第一種電気工事士の免状の申請には、試験に合格してから通算3年以上の実務経験が求められます。
つまり実質的には、3年以上の実務経験がないと第一種電気工事士の資格は取得できないのです。また、第二種の資格には有効期限がありませんが、第一種は5年おきに講習を受ける必要があります。
・待遇や将来性
現在は電気工事士になる人が不足しているため、第一種も第二種も需要があります。しかし、より必要とされているのは、やはり対応できる工事の幅が広い第一種の方です。経済産業省の資料では、2030年には第一種電気工事士が2万6,000人も不足すると予測されています(現状すでに相当不足)。第二種はこれほどではありません。
そのため給与などの待遇面においても、第一種の方が第二種に比べて大きく上回っています。また、電気工事は需要がなくなることがなく、むしろデジタル化の推進に伴うインフラ整備の増加によって、今後も需要が増していくと考えられます。第一種電気工事士は、とても将来性のある資格・仕事といえるでしょう。
■第一種電気工事士の資格を取得するメリット
第一種電気工事士は、第二種電気工事士に加えて試験の難易度が高く、免状の取得には実務経験も求められます。その分、取得によるメリットは非常に大きいため、電気工事士として働くなら積極的に取得を目指すのがおすすめです。主なメリットとしては以下のものが挙げられます。
・さまざまな電気工事に対応できる
第一種電気工事士は、第二種電気工事士の上位資格です。第二種と比較して、対応可能な電気工事の幅が圧倒的に広く、第二種にできて第一種にできない業務というものもありません。
そのため、第一種の保有者はどのような会社・現場でも重宝されます。また、多種多様な現場を経験することで、電気工事士としての大幅なスキルアップが見込めます。
・収入アップしやすい
第一種電気工事士は電気工事のスペシャリストであり、前述した通り第二種に比べて大幅に需要が高い資格です。また、現場のリーダーなどの責任あるポジションにもつきやすく、役職手当や資格手当も受け取ることができます。
当然、第二種に比べて給与がアップしやすく、最終的な年収でも大きく上回ります。企業にもよるので一概にはいえませんが、第二種の年収が400万円~500万円程度なのに対し、第一種は700万円~800万円程度になることも珍しくありません。
・転職時の選択肢が広がる
第一種電気工事士は対応可能な工事の幅が広い分、転職する際の選択肢も第二種に比べて大きく増えます。また、より需要が高いことから、第一種の保有者を求める会社自体が多いことも選択肢の増加につながっています。第一種電気工事士を取得すれば、仕事の獲得に困ることはなくなりますし、自分に合った会社を選びやすくなるでしょう。
■まとめ
第一種電気工事士を持っていると、第二種電気工事士に比べて従事できる工事の範囲が大幅に広がります。その結果、より多様な工事の経験を積むことができ、収入アップや好条件での転職にもつながります。
昨今の人手不足もあって需要は高まっていますから、積極的に第一種電気工事士の取得を目指すのがおすすめです。そのためにも、資格取得のサポート制度が充実しており、さまざまな現場を経験できる会社に就職するといいでしょう。
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